December 2010 Archives

ビジネスチェーンの分析

今までは自社内のモデルについて論じていますが、少し大きな会社になってくると、それだけにはとどまらないで、他の会社との関連が出てきます。会社間の取引により、事業がなりたっているというケースです。おそらく現代では何らかの形で分業というのが一般的ではないでしょうか。

さらに、最近ではグローバルな形でも関連性が出てきています。サプライチェーンでも本社や研究開発などの機能は日本にあるが、生産は中国なんていうのは多くの例があります。空洞化は由々しき問題ですが、それはそれとして個別企業の生き残りの戦略としてしかたないのかもしれません。

さて、その関連性をここでは「ビジネスチェーン」と呼ぶことにします。バリューチェーンといった呼び方もありますが、このバリューの定義があいまいなところがあるので、簡単に各社のビジネスのつながりという意味でこうしたワーディングにします。

このビジネスチェーンについても必要に応じて、現状の記述・分析とポジショニングをしておきましょう。ビジネスチェーンに参加する企業は、調達先などのサプライヤー、アウトソーサーもこのサプライヤーに入ります。また、代理店のような販売業者、ネット何かだと広告業者なんかもそうかもしれません。それと顧客ですね。

そうした関係のある会社について、現状の記述・分析では、拠点がどこか、取り扱っているものは何か、取引形態はどうなっているのかといったことを記述していきます。取り扱い物も、原材料のようなものから、中間品や資機材、部品、そして商品といった区分になります。

それができると、分析に入ります。これも同じように強み、弱みの分析を行います。トヨタの強みは、大変忠誠心の強い部品業者がいるとか、ひと昔前の松下電器の全国展開された販売店なんていうのもそうかもしれません。ユニクロと東レの関係なども強いですよね。最近は、グローバルで評価しなくてはいけなくなりました。

そこから、これまた同じように競合分析を行い、差別化ポイントや競争優位点からポジショニングを行うことになります。自社を取り巻くビジネスチェーンが他社と比べて強いのか弱いのか、どういう位置にいるのかということがわかってきます。
 

現状ビジネスモデルの強みと弱み

さて、現状のビジネスモデルの記述とKSFの規定が終わったら、次はそれぞれの構成要素について、強みと弱みの分析を行います。ただ現状のビジネスの実態を記述しただけでは、ビジネスモデルではないので、そこにある価値をみていくことになるわけです。

この価値は、単純には強みということになりますが、弱みもマイナスの価値という風に捉えた方がいいと考えています。こうした、プラスとマイナスの価値が入ってはじめてビジネスモデルと言えるものができます。

ここで、価値には事業者側にとっての価値と顧客からみた場合の価値があるのでそうした見方をする必要があります。バランススコアカードにある顧客視点というチェックです。

少し先走りますが、この強みすなわちプラスの価値をさらに生かすのが戦略になり、弱みすなわちマイナスの価値をプラスに転化するのが、業務改善あるいはプロセス改革といったようなことになります。

さて、ここでは自分たちが思っている強み、弱みでいいのでそれを書いて行きます。ですから、現状記述と違って多少の恣意的な要素が入ってきてもかまいません。極端な話、勝手に思い込んでいることでいいわけです。それは後の競合分析で、自分勝手な思い込みなのかをチェックして客観化していきます。

ここで、構成要素にあるビジネスチェーンについてですが、これは会社間のモノの流れのことで、サプライヤーや販売代理店、顧客、アウトソーサーといったプレイヤーの関係のことになりますが、そうした広範囲のビジネスを行っている場合に書きますが、そうでない場合は書く必要がありません。

ここで、強み(プラス価値)と弱み(マイナス価値)が書けたら、次に競合分析に行きます。事業は必ず競争にさらされていますから、いつも相対的な位置関係を知っておく必要があります。これは、醒めた目でみることが重要です。場合によっては、第三者が行うのがいいかもしれません。

ここではまず、競業状況ということで、競合他社がどこかになりますが、つい同業で比較することをしますが、そればかりとは限りませんので、異業種とも照合する必要があります。例えば、飛行機の競争相手は航空会社内だけではなく新幹線かもしれません。

そうした、比較とともに差別化のポイントや競争優位の源泉を探っていきます。それを見る上で価値とは一体何なのかという観点が必要となってきます。それは前に書いたように、比較優位性、特異性、新規性という見方をします。

その結果、この事業がどこで価値を持っているので競争に勝っているとか、そこそこ平均以上だが、他社に比べて抜きんでていないとか、どれもが劣っているとかがわかってくると、その業界でのポジショニングが決まってくるわけです。

この講座の「ビジネスモデルの記述と分析」でビジネスモデルの構成要素を記述していくようになっていますが、この前提が既存のビジネスありきになっています。つまり、いま実際にオペレーションしている事業があってそのことについて記述していくわけです。

ところが、そういうものとは限らないこともあります。例えば、新規に事業を立ち上げるなんていうのはそれにあたります。そのなかでも、既存の事業エリアがあってそこへ参入するなんていう場合はまだしも、全く新しい分野を開拓しようというときはどうするのかという問題があります。

おそらく、その場合の最大のポイントは商材の設定ではないでしょうか。どんな製品あるいはサービスを持って事業を構築していくのかということになります。顧客を先に決めてとか、強いリソースがあるのでそれを使ってとかいった考え方もないことはないと思いますが、それにしても大事なのは勝負する商材だと思います。

ですから、まずはそうした商材を創造するプロセスが必要になってきます。これはデザインプロセスになりますので、それ相応のやり方がありますが、慶應大学の奥出直人教授(ちなみにうちの社長の指導教授です)の「デザイン思考の道具箱」ではこう言っています。

ステップ1 哲学とビジョンを構築する
ステップ2 技術の棚卸とフィールドワーク
ステップ3 コンセプト/モデルの構築
ステップ4 デザイン- デモンストレーション用プロトタイプをデザインする
ステップ5 実証
ステップ6 ビジネスモデル構築
ステップ7 ビジネスオペレーション

これと、ここで言っているビジネスモデリングの関係で考えていきましょう。ステップ1で事業コンセプトをきちんと定義することでそのあとステップ2でフィールドワークが入りますが、これは観察することを意味します。これからやりたいことが人々の行動とどう折り合うのかとか、人間の欲求とどうマッチングするのかというような検討をするわけです。
ステップ3では商材のイメージを作ります。ここで重要なのは、一番ポピュラーなのはKJ法やブレーンストーミングで発散的に様々なアイデアを出し、そこから収束させていくという方法になると思います。それとある程度のビジネスモデルを作っておいた方がいいように思います。

そして、そのイメージをより具体的に、詳細仕様化しプロトタイプを作ります。そこにはデザインという要素をしっかりと入れておく必要があります。こうしてできた商材を使って、ビジネスを行うためのモデル化を行います。これが、いまこの講座で議論していることになります。

ただ、このデザインプロセスは実践してみると少しばかり変えた方がよいと考えています。そのあたりについてはまた、waditとしての方法論を構築する中でカスタマイズしたいと思います。
 


現状ビジネスの把握

ビジネスモデルの構成要素を理解したら、それぞれについて現状のビジネスにおける実態を記述していきます。市場や顧客であれば、今のビジネスがどのような市場で行っているのか、そのときの顧客をどうやって定義しているのかを書きます。セグメンテーションとターゲッティングです。

そのときの評価軸は自分で考えるのがいいのですが、このあたりはマーケティングの教科書に出ていますのでそれを参考にしたらいいと思います。商材については、従来だと割と単純で、単一製品だとか分かりやすいサービスといったものが主体でしたが、最近ではいろいろなものを組み合わせたものだとか、モノとサービスをセットにしたものとかが多くなっています。そのあたりをよく見てほんとうの商材を書いていきます。

この市場・顧客と商材が書きだせると後は比較的簡単ですが、ビジネスチェーン、サプライチェーンと商流モデルが混同される場合があります。前者はモノの流れで、後者はお金が絡んだものになります。

現状を記述する上で注意しなくてはいけないのが、この場合は事実情報を淡々と書くと言うことが大切で、変に曲げないことです。よく自分の思いだとか、こうありたいといった願望を含めてしまったりしますが、そうではなくて乾いた表現を心がけます。

こうして書きだしていくわけですが、このビジネス自体がどういうものであるかが明確になっている場合はそのあと強み、弱み分析に行ってもかまいませんが、そうでない場合は、ビジネスモデルの構成要素の重要度分類をして、そこからKSF(重要成功要因)を規定したほうがいいと思います。

すなわち、いま行っている事業というものを構成している要素の中でどれが重要なのかということをABCランクで表示します。例えば、商品の魅力という点が重要であるとか、化粧品のようにブランド力だとか、いや大事なのは設備能力や人材だというような評価を行い、その重要度に応じてABCに分けるわけです。

そして次に、そのなかでAランクに指定されたものを吟味して、さらに最も重要なものを選び出して行きます。これがいわゆるKSF(Key Success Factor)になります。ただし、気をつけなくてはいけないのが、それは状況によって変化するということです。内外問わず環境が変化した場合はこのKSFも変化しますので、その見極めが大事になってきます。

こうして、事業の成功のための重要な要件を頭の中に入れて、強みと弱みの分析に入っていきます。
 

ビジネスモデルの記述と分析

前回は、ビジネス実行体系を概観しましたが、これからはもう少し具体的な構築方法について議論していきます。戦略については既に書いたことなので、まずはビジネスモデルをどうやって記述して、それを分析するのかというテーマとなります。実はこのテーマでも、以前「ビジネスモデルを実装する」と題して、書いていますので重複するかもしれませんが、より具体的に説明しておきます。

ビジネスモデルの記述・分析手順は次のようになります。

ビジネスモデル記述.bmp

ビジネスモデルはつぎの切り口でモデル化をしていきます。

 ・どこの誰に
 ・どんな商材を
 ・どの経営資源を使って
 ・どのように提供して
 ・どうやって儲けるのか

これで、ビジネスモデルが書けたかというとそうではありません。大事なのは、このなかに戦略的な要素がどう盛り込まれているのかになります。それは言い換えると、「価値」を埋め込んではじめてビジネスモデルということになります。ビジネスで競争していく上で勝てるものを持っていないとビジネスは成立しません。

また、このままだと抽象的ですので、それぞれをもう少し具体的な構成要素に分解します。それらにはどんなものがあるかを次に示します。

ビジネスモデル構成要素.bmp

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