ここからは、業務機能をプロセス展開していくと多くの非定型業務に落とされていくという話をします。最初のエントリーで企業活動モデルをシステム構造的にみると、水平方向にビジネス活動があるとすると垂直方向にプロセス階層があるということを言いました。このプロセス階層を上から下位レベルに分解していくとどうなるかを考えてみましょう。

分かりやすくするためにプロセス参照モデルを例にとって説明したいと思います。プロセス参照モデルはサプライチェーンの領域ではデファクトに近いSCOR(Supply Chain Operations Reference)です。このモデルではレベルが3つあって、レベル1がプロセスタイプ、レベル2がプロセスカテゴリー、レベル3がプロセスエレメントという表現になっています。

プロセスタイプというのは、Plan、Source、Make、Deliver、Returnの5つです。日本語いうと、計画、調達、製造、出荷、返品といったところです。戦略的な見方をするレベルとなります。海外に生産拠点をもつとか、販売は販社にまかせるとかいったことをみていくレベルになります。次のプロセスカテゴリーは、見込生産品とか受注生産品あるいは設計生産品といった分け方になります。業務機能ドメインとでもいったらよいレベルになります。

レベル3になるとだいぶプロセス的になってきて、引合見積、オーダ受領、在庫引当、出荷といったものになってきます。これで上位のプロセスというイメージがわいたでしょうか。SCORはこのレベル3までのモデルが提示されています。ただ、これだけでは具体的な実行プロセスとはいきませんのでさらに分解した下位レベルのプロセスにしなくてはいけません。

余談ですが、標準モデルというのは誰からもコンセンサスを得られるようなものでなければいけませんので、どうしても高い抽象度となってしまいます。細かくすればするほど固有性が出てきますから標準から外れることになります。ですから、リファレンスモデルを実行レベルで使うことはできません。

このSCORのレベル3プロセスをその下のレベル4まで分解した人がいます。M&ERPインテグレーションの渡辺和宣さんで、そのモデルをESCORTと言います。このレベル4のプロセスは例えば、引合見積だと、見積依頼の受領・確認―見積条件の検討(与信)―見積条件の検討(プロダクト・価格)―見積条件の検討(納入条件)―見積回答の作成―見積回答の送付といったプロセスになります。ここまでくると、具体的なプロセスイメージになってきます。

さて、こうして分解されたプロセスを見てどう思いますか。例えば、見積条件の検討(プロダクト・価格)というのがありますが、見積依頼が来てその依頼内容に応じた商品を選んで、出し値を決めることを意味しています。まずこの業務を考えてみますが、これは定型業務でしょうか、それとも非定型業務でしょうか。

もうお分かりだと思いますが、非定型業務ですよね。見積依頼の内容や依頼元、依頼時期など決まりきってはいなくて、いつも違っていることがほとんどです。もちろん全部が全部ではなく、決まりきったリピートオーダーだとか、汎用品の購買だとかは定型的かもしれません。

ただ、そこのシステム化は簡単で決まったロジックで自動化すればいいわけで、いま議論しているのはビジネス要求をどう実現していくかなので、このレベルに現れた非定型業務の様相をどうさばくかが難しいところでこれから議論していこうとするのはこの部分になります。つまりレベル4プロセスをどう実装したらよいのかというのが論点となります。
   

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