前回は組み合わせで効果を出すということで、対立概念のいいとこどりのようなことを書いた。今回は、人とITの組み合わせということについて考えてみようと思う。いまの情報システムについていちばん大きな過ちというか勘違いは、システム化イコールIT化だと思っていることである。

おそらくコンピュータの出自からして勘違いしやすい歴史がある。元々「電子計算機」として登場してきたので、手で計算するとかそろばんを使って計算するといった人間の所作の代替を行うことが役割であったから、それがシステム化であると考えたのである。それがだんだんとコンピュータによる自動処理という方向に行って、システム化イコール自動化へと進んでいった。

一方で自動化できないものもあるのだが、そこはシステム化の対象外ということで片づけてしまっている。一時、人工知能(AI)なんていうのがもてはやされていたが、結局一部の定型的な処理に近い領域でしか生き残れない。それは当然で、人間の判断をコンピュータが替わってやれるとは思えないからである。

ですから、会社における業務も、もっと広く人間の営みは必ずコンピュータ、ITでは代替できない部分があるということである。そう考えると、発想を変えてみる必要があるのに気づく。つまり、主体をどちらに置くかという問題で、従来はシステム化というとITを使って自動化をめざすことに軸足がいっていたのを逆にすることを薦めたい。

主体をITから人間に置くという意識が重要になると思う。いずれにしろ、"人とITの組み合わせ"でやっていくしかないのだから、そのとき人間がITを使うという関係が実は最も効率的で、経済的であるのではないでしょうか。すなわち、人間がITを使うという意味は、使えないITは使わないという単純な関係をも言っているわけで、役に立たないITを導入することはあり得ないのである。

こうして、人とITの組み合わせという中でその割合なり、重心をどこに置くかはケーバイケースである。会社の規模や成熟度、あるいは対象とする業務、投資能力といったものに左右されてくる。それと大事なことは、アウトプットの完成度というか、あくまで100点をとろうとするのか、70点でよしとするかという考え方で、その会社の事情にあった最善のコストパフォーマンスをねらうことだろう。

従来のアプローチだと、ITシステムを導入することが目的化していて、そこは人間にまかせればいいというような部分にもITを導入するというムダを平気でやっていたと思う。ムダならまだいいかもしれなくて、かえって逆効果になることもある。例えば、自動化が進み過ぎて、そこでひとたび異常が発生してもだれも修復できないという悲惨なことも起きる。

結局、人とITのその時点での最適な役割分担を自分たちの組織能力や手持ちリソースあるいは風土などを勘案して決めていくことが大切である。そして、その"システム"を運用していくうちにIT化したほうがいいところを後から追加して行けばいいのである。こうした柔軟な取り組みをぜひ行っていってほしいと思う。
  

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This page contains a single entry by Masanori Wada published on March 5, 2012 10:03 AM.

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