前回は、業務プロセスの骨格ということで、始点が依頼を受付けることで、中間点として意思決定というアクティビティをつなげて作業をおこない終点である報告・登録で終えるというものを提示した。今回はそれをもう少し骨組みの中味を探ってみることにします。

非定型業務をIT化するときこのプロセスの構造ということが非常に重要になります。つまり、非定型といってもはなから非定型ではなく階層化された中で、あるレベルになると非定型になるというものだからです。その一歩手前の定型化された構造をきちんと設計しモデル化することが大事なのです。

さて、そのプロセスの基本構造ですが、前回の骨格をプロセス化すると、依頼受付―単位意思決定の連鎖―作業―報告・登録となります。次に検討しなくてはいけないのが、単位意思決定の中味はどんなことをすることなのかになります。実はこの中もプロセスになっています。ですので、最初の方がマクロフローで、意思決定のところがミクロフローということがいえます。

つまりこの2段プロセスが基本構造の重要な考え方となります。マクロフローのレベルではほぼ定型的な動きになりますが、ミクロフローでは非定型的、すなわち行ったり来たり、ケースバイケース、人間の判断、調整といった決まりきった動きではないことが多くなります。ですから、順序が定型化されたものとして構造化できないのでこれ以上分解をしない方がよいということになります。

皆さんが普段やられている仕事や組織としての業務をごらんになればわかると思いますが、おおまかな流れは決まっていますが、細かいところでは決まりきったものってそう多くはないと思います。そうですよね、もしそうならば、派遣社員にまかせればいいし、中国へアウトソーシングすればいいわけです。非定型業務こそが差別化や競争優位の源泉であるのです。そんなところって単純なITではできるわけではないということがわかると思います。

さて、それでは意思決定プロセスというのはどうなっているのかですが、前回サイモンの意思決定プロセスということを提示しました。具体的に考えてみましょう。最初の情報活動とは意思決定に必要となる情報を収集することです。次の設計活動は代替案の探索・代替案の評価、つまり起案したものを検討・評価してこれでいこうという最終案を提示し、選択活動では代替案の選択、つまり意思決定と承認を行うわけです。

こうした活動を行う場合、前に言ったように定型的ではありませんから、手順を自動化するようなIT化はできません。ですから簡単に言うと"質の高い意思決定を早くできるような環境を提供する"ことが求められるのです。ではそうした環境とはいったいどんなものなのでしょうか。

それは、情報共有・コミュニケーションと有用な情報サービスの取得による意思決定ができる場ではないでしょうか。非定型業務では、チーム間や外部とでコミュニケーションをとりながら、調整や相談をすることをします。また、それぞれの活動で情報を必要としています。例えば、情報活動では事実情報、設計活動では判断情報、選択活動では制約情報といった種類のものがあると意思決定の質は上がります。

結局、プロセス構造は依頼を受付けて答えるまでのマクロフローとそこにあるミクロフローである単位意思決定を行う情報共有・コミュニケーションの場と情報サービスを受けられる仕組みがプロセス基本構造となるのです。
 

No TrackBacks

TrackBack URL: http://blog.wadit.jp/mt/mt-tb.cgi/38

Leave a comment

About this Entry

This page contains a single entry by Masanori Wada published on March 27, 2012 10:05 AM.

非定型業務のIT化 - 業務プロセスの骨格 was the previous entry in this blog.

もしSIerのエンジニアがジョブズのスピーチを聞いたら(1) is the next entry in this blog.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Pages

Powered by Movable Type 4.34-en