前回は、Howということでどのようにして設計して実装していくかについてとっかかりの考え方について議論しました。そこでは、プロセス中心、プロセス先行でみていくことが大切だということを言いました。今回は、設計のところを具体的にどのように進めるかについて考えていきましょう。

このエントリーのタイトルが「非定型業務のIT化」ですので、非定型業務であるがゆえの特徴をまず考えてみます。IT化のための設計というとどうしてもプログラムを書くためとか、パッケージを適用するための設計といったものになりがちです。いわゆる「要件定義」という行為が設計だと思ってしまうことがあります。ここはよく考えなくてはいけない問題で、一生懸命ユーザの人が業務上の要求を出しても、結局はITのための設計に行ってしまうので断絶が生じてしまうことがよくあります。

使う側の人たちが欲しているのはうまく仕事をする、円滑に業務を回すための仕組みと仕掛けを作ってくれと要望しているのであるから、極端なことを言えばどんなプログラムを書こうと、どんなソフトウエアを使おうともそれが実現できればいいのである。つまり、だいぶ前「Whatはオペレーションから発想する」に書いたようなWhatをどうやって作るのかなのである。もう一度、オペレーションプラットフォームが持つべき要件を思い出してほしい。

①ビジネス活動(プロセス)の進捗がわかること
②意思決定(データ確定・判断)に必要な参照情報を得られること
③コミュニケーションをしながら意思決定が行えること
④プロセス全体と単位意思決定の責任者が明確になっていること
⑤パフォーマンスの状況がわかり対応アクションがとれること
⑥オペレーションの結果がアーカイブされて、次に生かされること

これらの要件はユーザの人たちが実際にビジネスの現場でやっていることを表現しています。ですからこれらを満足させるための設計はいかにあるべきかが大切なのです。そして、ここにはプログラムがどうの、ソフトウエアがどうのということは出てきません。非定型業務のIT化にはこのレベル感が非常に重要になってきます。

いまの要件定義といわれているようなことはこの一段下のレベルのことを言っています。つまり、定型的な業務に落ちてしまっています。どんな画面や帳票でとか、ロジックはどうするのかとか、バリデーションはこうだとか、それって"非定型業務の結果を登録する定型化された業務"でしょう。

ちょっと話はそれますが、設計で機能要求とか非機能要求、あるいは外部設計とか内部設計といった言い方がありますが、意味は何となくわかるのですが、なぜ分ける必要があるのかとか、システムを使う人が理解できるのだろうかと思ってしまう。ましておや、これからクラウドの時代にはそぐわないだろう。

ということで、設計で大事なのは業務プロセス設計になります。先ほど提示したオペレーションプラットフォームの持つべき要件を満足させるために業務プロセス設計で決めることは何でしょうか。まずは、プロセスフローを決めることになります。ではそのプロセスフローとは何かですが、アクティビティ(意思決定項目)の選定と順番になります。ただ、順番は厳密なものではありませんのでだいたいの流れでかまいません。

それが決まると、アクティビティの属性を決めて行きます。意思決定をするために定義しておかなければいけない項目です。それは、確定情報(データ、判断、文書)、参照情報(事実情報、判断情報、制約情報)、適用業務ルール、ロール(権限、参加者、承認者)、制御変数(プロセスメトリクス)となります。実際には、これらの基本情報に付帯する情報も必要に応じて定義しておきます。非定型業務の設計はこの程度でかまわないのです。緩すぎないかと思うかもしれませんが、要するに非定型なのですから定型化してはいけないのです。
 

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This page contains a single entry by Masanori Wada published on April 23, 2012 10:22 AM.

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