どうやって実装するかの前に「ITを考えないで業務オペレーションを描いてみる」ことをしてみましょう。このエントリーのタイトルが「非定型業務のIT化」ですからそれを否定するような言い方で矛盾していると指摘されそうですが、単にIT化するのが目的でなくて、言外にビジネスの役に立つためのITという意味が含まれています。

つまり、ビジネスに貢献できないようなITなら入れない方がよいということです。ですから、大事なことは最初からIT化ありきではなく、ITを考えない中でその業務システムをオペレーションできるか、どんなオペレーションになるのかをみておくことも必要ではないかということです。

さて思い出してほしいのですが、業務プロセス設計でどんなことを決めたでしょうか。まずはプロセスフローを決めることをしました。そしてプロセスフローとは、アクティビティ(意思決定項目)の選定と順番というふうにしました。このことはオペレーションという観点では何を意味しているかというと、意思決定の進捗を管理することになります。

プロセスフローが決まると、確定情報、参照情報、適用業務ルール、ロール、制御変数などのアクティビティの属性を決めていきます。つまり、意思決定というのは結果としてある情報を確定することなので、その決定すべき情報とそのためにどんな参考情報やルールをみるのか、だれが決定・承認するのか、何をコントロール・監視するのかを決めることになります。

これも、オペレーション的には、迅速で質の高い意思決定を行えるように多くの有用情報を素早く取り出せ、知恵を持った人たちの助言を受けたり、上司と相談でき、また制約やコンプライアンスのチェックがなされる環境があることでしょう。こうしたことはパフォーマンスという面を考慮しなければITがあろうとなかろうと関係ない行動です。

そうなんですよね、ITがなければこうした行動、活動ができないのではなく、ITはあくまで早く、速く、多く、強く、高くなど"形容詞的"効果をもたらすものなのです。主語・述語・目的語、そして名詞・動詞はITには無関係です。では、プロセス設計されたものをITなしでのオペレーションをした場合を考えてみましょう。すなわち、コンピュータがない時代の業務です。

プロセスフローというと箱を矢印で結んで書かないといけないように思えますが、昔は"仕事の段取り"だとか、"工程表"などを紙に書いたり、黒板に書いたり、またカレンダーにマグネットを置いて管理したりしていました。有用情報は紙でキャビネットにあるバインダーに綴じられているものがほとんどです。そのページを指でめくって探したものです。他にも新聞の切り抜きをスクラップブックに貼ったりしました。マイクロフィルムというもありましたね。

コラボレーションというのも、隣のひととメール交換する現代よりもっとまともなコミュニケーションをしていたような気がします。何かあると皆が机の回りに集まって来てなんだかんだと議論しましたし、電話やFAXでやりとりもよく行われました。もちろん、契約書だってありますからちゃんとチェックしていました。期日管理なんていうのも大きな張り紙があったりしました。

こうしてみると、やっていることはいつの時代でも同じだったのです。しかし、それが効率的であるのか、迅速性がないのか、狭量的になっていないのかといった問題を抱えていたわけです。もっと早くやりたい、もっと多くのことを知りたい、もっと高度にしたいといった欲求不満を解消してあげる必要が生じたのです。

例えば、プロセス管理をホワイトボードでやると何が問題なのかというと、ホワイトボードに書ける情報量が少ないこと、書いてあることを手元で見られないあるいは遠隔地と共有化できないといった問題が出てきます。同じように、いつも紙をキャビネットから取り出してめくるのは嫌だなとか、書き写す手間が大変だなとか、情報を得るのに役所や図書館までいかなくてはとなるのです。

さて、もうおわかりかと思いますが、そういった欲求を満たしてあげるものとしてITが存在しています。この領分ではコンピュータが登場してからずいぶんと大きな貢献をしていると思います。取得する情報の量と速さはとてつもなく多くそして速くなっています。ただ、だからといってやみくもにITを導入すればいいというのではなく、身の丈にあった導入をはかるべきだと言っています。

ITがなくてもやってきたわけですから、それほど多くの情報量が必要でない会社、簡単なプロセスしかない会社は無理にIT化しなくても人間が介在することでも十分できるならそれでもよいと思う。つまり、人間とITがうまく役割分担して、ベターな仕組みを作ればよいのです。こうして考えると、業務システムをプログラミングして自動化を図るというアプローチが何だかおかしく思えてきませんか。
  

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This page contains a single entry by Masanori Wada published on May 10, 2012 10:25 AM.

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