■ ITって何かを知る
ここで少し心構え的なことを考えてみましょう。ビジネスサービスを広く捉えると、必ずしもITを使ったものでなくてはいけないということはありません。世の中にはITを使わないサービスは数多くあります。ですから、当たり前なのですが、サービスを提供するのに役に立つ部分にITを適用することになるわけです。ところが、時として何でもかんでもITでやろうとすることがあります。

○○システム開発といったプロジェクトを始めたとすると○○システムをどうやって作ろうかと考えてしまいがちです。パッケージを持ってくればいいとか、プログラミングを自動化して速く作ろうとかに頭が行ってしまいます。これはまさにITシステムを作ることが目的となってしまっています。そのプロジェクトの顧客は誰で、その人たちはどんなサービスを欲しがっているのかという見方が大事なのではないでしょうか。

ぼくはいつも「ITとは」という問いかけに対しては次の二人の言葉を思い出すことにしています。

「僕にとってのコンピュータは、人間が考えついた最も素晴らしい道具なんだ。それは知性にとっての自転車に相当するものだ」                                                      
                           -Steven Paul Jobs-
「人間を代行するコンピュータから人間の道具としてのコンピュータへ」
               -Terry Allen Winograd-

ジョブズはだれでも知っていると思いますが、ウィノグラードはスタンフォード大学の先生で、以前は人工知能の大家であったが、その後人工知能の限界を唱え、人間とコンピュータの相互関係を重視したLAP(Language/Action Perspective)という理論を提案している。

簡単に言うと、認識を人間と環境との適合(カップリング)と考え、人間は言語を通じて環境とカップリングする生物であると規定します。従って、ビジネス(プロセス)は話し手と聞き手が相互にカップリングする、再現的な会話(言語行為)によって進行すると考えるのです。これはコンピュータには難しいのです。

二人ともITはあくまで人間が使う道具であると言っています。しかも注目すべきはジョブズは自動車ではなく自転車と呼んでいます。自分の手と足で自由に操れるものという意味なのです。つまり、あくまで人間主体であり、その人間が必要に応じてITを道具として使っているという姿が浮かんできます。

ITをサービスという観点で眺めていくと、サービスとは人間がITを使って生み出されるものであり、またITと人の合わせ技でビジネスサービスを使うというアプローチになるのです。ですから、ケースバイケースでITに任せる部分、人が関与する部分の割合が変わるのは当然で、道具との相性も含めて本来の目的を忘れずに柔軟に対応できるようにするのが大事になるのです。
 

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