生産形態と開発メソッド

開発というと、最近ではウオーターフォールなのかアジャイルなのかなんて議論があったりします。どんなメソッドで開発するのかという話です。ただ、あたりまえ前の話として、どうやって作るかというHowは、どんなものを作るかというWhatに依存する。作るものや動かすものの性格によって作り方は違ってくる。

このことは、何もITシステムに限ったことではなく、一般的な製造業も同じというか、そもそも製造業は何を作るのかというプロダクトがあって、その生産のためにどんな生産方式を採るのかということになる。なので、ちょっと寄り道をしますが、生産形態について見ていきましょう。生産形態にはタイミングとか、製品の種類、生産方式などで分類することが一般的です。

受注タイミング :受注生産/見込み生産
製品の種類と量 :多品種少量生産/中量生産/少品種大量生産
生産方式    :個別生産/ロット(バッチ)生産/連続生産

といったところですが、それぞれ全部の組み合わせがあるかというとそうではなく、大体次の6種類になります。
(1) 見込み生産/少品種大量生産/連続生産
(2) 見込み生産/少品種大量生産/ロット(バッチ)生産
(3) 見込み生産/中量生産/ロット(バッチ)生産
(4) 受注生産/中量生産/ロット(バッチ)生産
(5) 受注生産/多品種少量生産/ロット(バッチ)生産
(6) 受注生産/多品種大量生産/個別生産

さて、IT(ソフトウエアやサービスシステム)の場合はどうなるのであろうか。どうも物理的な実体がある一般製造業とは違って、量的な問題はあまりないように思える。つまり、物理的な大きさとか数というのは、コピーもいくらでもできるし、倉庫に在庫として持つこともないからである。そうなると、見込み生産型なのかそれとも受注生産型なのか、それとどういった生産方式になるのかになる。ただし、連続生産というのはないだろうから、個別生産かロット生産かになる。

これらの組み合わせも大体決まっていて、受注生産型は個別生産方式であり、見込み生産型はロット生産方式といってもいいだろう。ロット生産というのは製品ごとにあるまとまった量を作っておくことなので、ITではそんなことはしないと言われそうだが、ある量を販売するためにあらかじめ用意しておくという意味でロット生産と呼んでもいいだろう。

さて、システム開発という大雑把な言い方をした時に、その生産形態はどうなのかと見ると、ソフトウエアとかパッケージはどうも見込み生産/ロット生産と言えそうだし、業務システムは受注生産/個別生産のようだ。特定の会社の業務システムがそのまま他の会社で使えるかというとそうはいかないので個別に作り込むことになる。

では、冒頭に言ったウオーターフォールなのかアジャイルというのは、個別生産に向いているのか、あるいはロット生産に向いているのかという見方にもなりそうだ。どうも、作り手側で製品の仕様を決めて生産するやり方はウオーターフォールが合ってそうだし、お客さんの要求を調整しながら、場合によっては開発や設計行為も入り込みながら作り込むのはアジャイルが良さそうだ。

ここでお気づきかと思いますが、これまでは、受注・個別生産型である業務システムをウオーターフォールで作ってきたことである。この問題点がいまクローズアップされているように思う。ただ、昔にもアジャイルでやればよかったとは言えない。そういった技術もインフラもなかったのだから仕方がなかった。しかし、現代は環境がずいぶんと進歩したので、問題を引きずることから脱却しなくてはいけない。

ですから、従来のやり方では、受注・個別生産型なのに、製造工程に移る段階で要件定義と称してあらかじめ決められた仕様に沿って作る方式である見込み・ロット生産型にしてしまったのである。その結果、一度決めたら最後まで行って後戻りできない羽目に陥っていたのである。これからの業務システム開発は受注設計生産型にマッチした開発方式を採用すべきなのである。
  


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