■    なぜBPMSではなくWebデータベースを使うのか

クラウド上にあるWebで作ったコンポーネントを利用してサクッと作りたいと言った。その主要なコンポーネントがWebデータベースである。具体的にはサイボウズ社の提供する「kintone」というソフトウエアを推奨している。ただ、そんなことを言うと業務プロセスシステムだから、なぜBPMS(Business Process Management Suite)を使わないのですかと問われる。当然である。業務プロセスを開発するために作られたツールなのだから、それを使えばサクッと作れるでしょうという。

そう簡単に考えないで、よーく吟味してみましょう。まあ、概して高価であるということもあるが、そうでない切り口でみていく。企業の方々は、ERPのバカ高いパッケージと開発費用がトラウマになっているのかどうか分かりませんが、もうその手には乗らないぞということがあって、費用対効果に疑問を抱いているように思います。だから、なかなかBPMSを導入するのが進んでいないようです。

さて、価格に対する抵抗感はさておくにしてもBPMSが浸透していかない理由は、ベンダーもユーザーもまだまだシステム開発ツールという理解があるのではないでしょうか。スクラッチでコード書いていたのでは生産性があがらないので、フローのロジックのところをパターン化してモジュールにして、設定作業化させればいいのだという考え方である。確かに、ツールになれてくると生産性はあがるので効果的だと思うのでしょうが、そのことはユーザにとってのメリットになるのでしょうか。

皮肉っぽくいえば、ベンダーはいくら生産性をあげたからといって、開発費を下げようとする力学は働きませんから、高価なままなので、何だ開発費用はそんなに下がらないじゃないかとなってしまう。ではそれ以外にどんなメリットがあるでしょうか。開発ツールではないと規定したら、何と考えるべきだろうか。このシリーズで言い続けている業務オペレーションのためのツールと考えてみましょう。

BPMSを使って日常業務のオペレーションを想像してみてください。おそらく、使い方としては業務プロセスの進捗を管理してフローを回して最終的にはデータ登録という形になるわけです。プロセスというのは、案件の処理というふうにとらえてもよいので、入ってきた案件をどう処理してその結果はどうなったかを記録するということでもあります。そうしたオペレーションがBPMSはやりやすいのでしょうか。

BPMSは、基本的には自動化を目指しています。つまり、処理フローのロジックを設定しておけば、決められた流れで処理してくれるというスタンスになります。それはユーザが望むことでしょうか。要するに、自動化してくれるとうれしいのかどうかです。IT導入という出発点は確かに自動化の追求です。電子計算機です。それはそれで大いに進んできました。ですから、その領域はほぼやり尽くしているように思えます。

まだ自動化を追求するところがあるのでしょうか。これからのIT導入は単なる自動化ではなくもっと違った目的をもったものになるような気がします。どうも、自動化に向いていない非定型的な業務に焦点があたってきて、そこの領域のIT化がねらいどころになっていると思います。ですから、そこに定型的な処理をもってこようとするBPMSに矛盾を感じるのです。どうもこの辺の違和感があるために使うのを躊躇している。だから、プロセスといっても最終的にはデータ登録になるわけだから、データ登録がやりやすい、どうやってそのデータを記録したのかがわかるような工夫ができるようなWebデータベースを選択しているのである。
 

No TrackBacks

TrackBack URL: http://blog.wadit.jp/mt/mt-tb.cgi/89

Leave a comment