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岩田研究代表の岩田アキラさんが、米国のBPMコミュニティ誌「BPTrends」におけるポール・ハーモンとセリア・ウォルフの最新の投稿について記事を書いている。それによると、BPMもだいぶ変化を見せてきたようだ。

大きく5つのポイントをあげている。

1.BPMは"IT活動"ではなく"ビジネス・マネジメント活動"との認識が広まった
2.プロセス改革アプローチを強調するプロフェッショナルの堅実な需要
3.プロセス・モデリングの企業内浸透と組織パフォマンス向上の多様なテクニック論
4.BPMS市場の変化
5.BPMへの国際的な関心の高まり

詳しくは記事を読んでもらえればよいのですが、岩田さんも最初に"この変化傾向は、日本BPM協会メンバー間でも予見していた事項で、同レポートを読んで「やはり..海外でも..」といった感想である。"と言っているが、ぼくもこの協会メンバーの一員で岩田さんともしょっちゅう議論しているので確かに最近の論点によく似ている。

このたび日本BPM協会では「BPM推進フレームワーク」をリニューアルしたが、BPMは"IT活動"ではなく"ビジネス・マネジメント活動"という意識が強く働いている。従って、BPM推進には「プロセス改革推進」「プロセス開発」「プロセスオペレーション」の三位一体の取り組みが大事だと謳っている。

そして、それを担う人材として、ぼくはビジネスエンジニアと呼んでいるが、レポートにあるようなビジネス・アナリストとかビジネス・アーキテクトといった人材が望まれるようになったのである。システム・エンジニアとかITアーキテクトではなくあくまでビジネス視点を持った技術者である。

3に書いてあることは、1に呼応しているわけだが、以前はBPMというとBPMソフトウエアを使ってシステム開発を行うという意味合いが強く、従ってユーザ側も開発方法だからベンダーにまかせればいいやという感じでもあった。

しかし、プロセスを設計することは、ITシステムを設計することではなく、自分たちの業務を設計すること、しかも業務は戦略や改革要求を実現するものとして設計しなくてはいけないことに気がついて、そうなるとベンダーなんかにやらせるわけにはいかないとなってきていると思うのである。

やっと、ビジネス寄りでBPMを考える機運が海外で出てきたことをうれしく思っている。日本では、いくら国内で声をあげてもなかなか取り上げてくれないので、海外でのこうした声が早く日本に届いて理解が進むことを願ってやまない。
 
ちょっと前に、特許庁のシステム開発プロジェクトが55億円もの予算を突っ込んだ挙句にとん挫してしまったことが話題になった。2006年から始まったプロジェクトであるが、設計ができずにあきらめたようだ。特許庁は開発ベンダーである東芝ソリューションの能力不足を責め立てているが、どうもそんな単純な問題ではないように思う。

ぼくはむしろシステム化以前の要求定義のところに問題があったと思う。そうなると、ITベンダーというより発注者側の特許庁の方に責任があるのではないだろうか。役所も大企業もそうなのだが、日本ではSIerにお任せという姿勢がほとんどで、RFP(Request for proposal)も自分たちが書かないでSIerが書く場合も多い。従って、お任せされてもやりきれる大きなSIerしか受注できないという構図である。

つまり、発注者側であるユーザのシステム開発に対する姿勢とそう仕向けているSIerに大きな問題が横たわっているのがわかる。自分たちの要求を抽出して定義することができないユーザとそうした情報の非対称性を悪用して大きな利益を得ようとするベンダーが反目するのではなく馴れ合っているのである。

こうした慣習はずいぶんと前から指摘されているにもかかわらず、またぞろ同じような失敗を繰り返したことにショックを受ける。ある意味日本の縮図みたいなもので既得権益をお金の出し側ともらい側の両方が守ろうとしている。いまや変革の要請が至る所から発っせられているのに直らないのだ。

ではこうした事態を防ぐにはどうしたらよいのだろうか。今までの延長線上にあるような小手先の対策では無理だろうと思う。やれプロジェクト管理ができていなかったとか、スキルが不足していたとか、要件定義のやり方がまずかったとか、こうしたHowの領域での改善では立ちゆかないと思う。もっと抜本的な方策を編み出さない限り同じような失敗が今後も続いて行くような気がする。

その方策として、3つくらいが考えられると思う。まず一つ目は、このブログでも口を酸っぱくして言ってようにHowではなくWhatを優先して考えるという態度である。そのWhatはオペレーションから発想するということである。特許システムとはどういう使い方をしたいのか、ユーザは誰でその人たちにどのように使われるのかという視点で、そのための道具を定義してからHowに入るべきなのである。聞くところによると特許庁の1000人に業務フローを書かせたらしいのですが、みんなに使われる道具という観点に立てばそんなアプローチはしないはずです。

2つ目は、どうして100億近いシステムを一気にやろうとしたのでしょうか。少なくとも特許の検索の仕組みと特許庁の人たちの業務とは切ってもできるのではないでしょうか。近頃は、SOA的なアーキテクチャがあって、ビックバン方式ではなく段階的、部分的のシステム構築が可能になっています。これは投資リスクの回避にもなりますし、その組織の成熟度の進展に合わせて作って行くことで"猫に小判"的なシステム構築を防ぐことができます。

3つ目は、契約の問題です。本件も東芝ソリューションにお金が払われるのかどうか分かりませんが、通常準委任契約が多いので工数をかけたらそれに見合った費用をもらえます。こうした契約により成果が出ようと出まいと、使われようが使われまいがお金が払われるのはやはりおかしいわけで、理想的には成果報酬型が望まれると思う。

ただ、現実的にはその成果をどう測るのかが難しいし、成果が出ない時の最低保証をどこまでも持たせたらいいのかといったことがありなかなかできないでいます。しかし、見積りのところの工夫はある程度できるように思えます。設計までは準委任でやっておいて、開発は請負にして、成果がでたらそれをある割合で還元してもらうといったやり方もある。しかし、もっと進んで前に言ったように家電を買うようにできたらこうした問題はなくなると思うのだがいつことやら。
  
来る3月6日(火)に目黒雅叙園で「第7回BPMフォーラム2012」が開かれます。「これからの企業革新を支えるビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)」というタイトルで3人の方の基調講演とBPM実践事例/ソリューショントラックとBPMソリューション/テクノロジートラックに分けて8つのセッションが組まれています。

今回は冒頭で「BPM推進フレームワーク」の紹介がありますが、このフレームワークはコモンセンス部会の中でずっと検討されてきてようやく出来上がったものです。おそらくβ版ということで説明されると思いますが、私はこの部会のメンバーなのでこの作成には最初から参加して、一部を担当しています。

以前から推進フレームワークというものはあったのですが、現在のBPMの考え方にそぐわなくなってきていましたので改訂したわけです。個別の内容についてというより、大きなコンセプトとか概念的なモデルが重要なのですが、それがかなりよいものができたと自負しています。

詳しくは当日の説明を聞いてもらえればよいのですが、私が評価したいのは、3つの輪のことで、つまりプロセス改革推進(PC)、プロセス開発(PD)、プロセスオペレーション(PO)という3つの機能を設定してそれぞれの推進ステップを明示したことです。特にオペレーションを重視したことは大変重要なことでこのブログでも再三指摘したことでもあります。

やはり、BPMは実際に実行して、あるいは設計したプロセスを動かして、その結果としてビジネスの成果を出すことができてこそ意味があるのです。そんな話も聞けますが、もちろん基調講演や各セッションの話も大変参考になりますのでぜひ参加してみてはいかがでしょうか。なお、私に連絡いただければ割引価格でのご提供ができますのでよろしくお願いいたします。
  

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